基礎練習の方法概論②(インターバル、リップスラー)

    ようやく第2回だ。前回はストレッチとロングトーンという基礎中の基礎に立ち直ってみた。それを踏まえて今回は次のステップへ。音階やインターバル、リップスラーについて取り上げる。今回は練習方法というより、これらの効果を中心に説明することにする。

1. 音階練習という均し

    音階練習は、考えれば考えるほどその意味がぽんぽん出てくる。僕が思う主な目的は3つで

  1. 音色を均す
  2. 音の移動のための体の使い方を得る
  3. 調のイメージを持つ

    である。

    1.1.音色を均す

    これはロングトーンでもできることであるが、音を移動しながら鳴らすことによって例えばB♭とCの音色にある差(抵抗感が異なるため)に気づき、それを減らすことが出来る。ロングトーンでそれをやろうとすると、万全な準備のもとで慣らしにくい音を鳴らして、少し癖が減った、と錯覚しかねない。音階練習はそれを少し実践に近づけて、ある程度無意識下でも鳴らしにくい音と鳴らしやすい音の差をなくす効果的な練習方法だと思っている。

    1.2. 音の移動のための体の使い方を得る

    1と似た内容になるが、単音を鳴らすというのと音の並びを連続して鳴らすというのには少しばかり差がある。理由はわかるだろう、準備時間がロングトーンより短いからだ。音には鳴らしにくい音と鳴らしやすい音がある。その二者では息の入れ方や口の形や使い方が異なる。それを無意識で使い分けられるような練習であると思っている。

    1.3. 調のイメージを持つ

    多くの演奏曲には調が存在する。それぞれの調にはそれなりのイメージがあるはずだ(同じ曲をハ長調変ロ長調で聞くのを同じと感じる人はいないだろう)。最初は指感覚かもしれないが、慣れるにつれて音階を調として吹けるように、聴けるようになる。それが練習が実践に近づくことであり、現実味を帯びる練習だと思っている。

 

    これらのことがあるので、音階練習はある種音色や自意識の均しだと思っていただければいいかなと思う。均しであるということは慣らしでもあり、練習量が直接技術に結びつくものである。最初は上手くいかなくても徐々に慣れて言って欲しい。

 

2. インターバルは慣らし

    インターバル練習とは、音と音の間隔(英語でインターバル)をしっかり掴む練習である。音階練習とともに大事であり、その目的は大きく1つ。

  • 間隔を掴む。

    それだけだ。ただ、それだけだと説明もクソもないので加えておく。

    低い音と高い音ではなる条件が大きく異なる。それゆえに低い音から高い音へ移行するためにはそれなりの条件変更が必要である。例えば息の圧力量や口の形(アパチュア)、体全体の支えの位置や使い方などは音の高低差に依存する要素の一部だろう。思い通りに吹くという意味で音の間隔を体で覚えていく(慣らしていく)練習がこれに当たる、ということだ。

 

3. リップスラーは音色作りの根源

 

    ユーフォを初心者で始めた際にロングトー

ンの次に多くやっていた練習がこれだ。金管楽器にしかないこの練習で何を会得できるか、それは大きく2つ。

  • 音色作り
  • 唇を柔軟にする

    である。

    3.1 音色作り

    リップスラーはインターバルとは違い、同じ運指で鳴る異なる音をスラーで行き来する練習だ。ロングトーンである程度作ってきた音色をより強固なものにしてくれる練習がリップスラーだ。この「音色作り」というポイントに関しては先程のインターバル練習と似ていて、高い音と低い音の差をなくすという目的がある。

    3.2 唇を柔軟にする

    これに関しては、音色作りとの相乗効果だと思っていただければ良い。唇を柔軟にすることは、その音を力をあまりかけることなく出せるようにすることであり、これにより音色をより操作しやすくなったり音域を広げたりするという効果も期待できる。この「唇を柔軟にする」ことは金管楽器奏者なら特に重要視しておきたいポイントだ。

 

まとめますと

 

    最後まで読んだ方は気づいてるかもしれないが、今回説明した3つの練習方法は目的がかなり似ている。どれも音色を整えたり音の差がある時への対応力を向上させたりする効果が期待できる。この練習が不足していたな、そう感じる人は特にリップスラーを中心にこれらの練習に取り組んでいってほしい。リップスラーを目的を意識した上で多めにやることで、目指すべき音色にぐっと近づくことができるだろう。

 

次回はタンギングダイナミクス練習、更に基礎練と音楽をできるだけ分離しない大切さを説明したい。あくまで願望であるが。