オレンジ色の、水色の、そして濃い緑色のユーフォの音

    僕は、大学に入ってからユーフォニアムという楽器を吹き、練習し始めた。それまではチューバをやっていたのだが、高校生時代になかなかチューバの魅力を最大限感じることができず、ユーフォニアムに転移した。

    ほぼ初心者で、立て続けに本番があったもんだから、早く上手くならなければ、という焦燥があった。それで、その時の先輩に色々聞いてみたり、インターネットで情報収集したりしていた。

    先輩は、音色作りについて最初に教えてくれた。中高共にあまり気にしていなかった点で、当時は刺激的だった。

    そのためにロングトーンをやり、そのためにリップスラーをやることをそのときに初めて知った。

    そのせいか、僕は今でも音色に強いこだわりを持っている。

    ずっとこだわってきたせいか、最近は音色が単純に色になることがある。あの音色は水色で、この音色はオレンジだ、など。

    高校生までの僕はその次元に達することは一切なかった。だから感覚としてそこそこ不思議だ。音色がリアルの色になるとは。

    実際、音色がよければそれっぽく聞こえるし、吹奏楽の中で周りに溶け込むこともできるし、加えてユーフォらしさを主張しても悪目立ちしづらくなるので、音色へのこだわりは利点しかない。

    また、プロのユーフォニアミストの中でも音色感は非常に異なる。(スティーブン・ミード氏とアントニー・カイエ氏とでは、全く異なる音色である)

    色が見えた瞬間に楽器の本性、そして奏者の感性が見えて面白い。だから僕は音色へのこだわりを捨てない。もちろん他の技術も大切だ。(音のインターヴァルとか、リップスラーの技術や、ダイナミクスの幅の強化など)ただ、音色は聴衆に与える印象を決め、審美眼が強く働く局面だ。その大切さ、緻密さは、楽器を扱う人間として強く意識したいものだ。

    さて、あなたは何色が好きだろうか?そして、あなたは何色だろうか?