量子コンピュータの勉強ノート

    最近少しばかり気になっている「量子コンピュータ」。とある教授が「量子コンピュータが当たり前になる時代が来ます」と言っていたこともあり、少しその中身について知りたくなった。参考図書に載せた本で勉強しながら量子コンピュータの概要は掴んできた(本格的な理解は、シュレーディンガー方程式など量子力学を理解してからにする)。今回は、たまには情報系大学生らしく、自分の専門では無いものの「量子コンピュータ」の大枠をメモしておく。

 

1. 量子コンピュータって?

 

    多くの方は「そもそも量子コンピュータってなんなの?」というところから始まる。僕もそうだった。名前しか知らない存在だった。簡単に言えば、量子コンピュータとは、量子の特別な性質を応用したコンピュータである。

    色々説明を加えないとなんのこっちゃという感じなので説明する。まず、「量子」とは、小さすぎて一般的なものには有り得ない性質を持つものの総称(電子も量子のひとつ)である。では、その「量子」が持つ特別な性質ってなんなんだろうか?

    ここでは、量子コンピュータの説明に必要な現象だけあげていく。

  • 量子の重ね合わせ→コンピュータのbitが0 or 1なのに対して、量子は 0 and 1。これ。量子の0か1かは、観測されることによって決まる。

  • 量子もつれ→複数ある量子の片方が決まるともう片方がその逆になるという現象

    この2つの現象を用いてするのが、古典コンピュータができない「並列計算」を可能にするのだ(古典コンピュータは超高速の逐次計算)。例えば、10個の量子が存在する時に先程言った「量子の重ね合わせ」をすれば理論上2^10=1024の組み合わせを同時に計算することが出来るわけです。

2. 量子コンピュータのメリットデメリット(スパコンとの比較)

 

    当然、万能なものは存在しない。メリットデメリットそれぞれある。

    メリットは先程言ったように並列計算による計算の高速化、さらにスパコンと比べると圧倒的に消費電力が少ない。スパコンは、計算を全て電子をガンガン回して行っている。当然計算量が多くなれば、その分消費電力は増加する(日本のスパコン京は電力消費量が12.65MWである。400Wで1時間あたりの電気料金を27円とするとスパコンの一時間あたりの電気代は32.4万円。やばい。)。

    今よく使われている量子コンピュータは、量子の重ね合わせ・もつれを発生させるために超伝導(金属を絶対零度にして抵抗を0にする現象)を用いるため、絶対零度にするための電気しか必要としない。それにより、消費電力を1000分の1程度にすることが出来るのだ。また、違う方法もあり、それは常温ですることが可能なので更に抑えることが出来る。

    もちろんデメリットもある。まず、今の技術ではそこまで多くの量子を扱えない。作るのも、それらを制御するのも難しく、今の技術ではできて精々50個程度だという。この量子ビットが増えればもう少し利用場所が増えると思うのだが、難しいところだ。

3. 量子コンピュータ、必要?

 

    確かに、並列計算可能になるから計算に使う量子(量子ビットという)が増えれば計算時間めっちゃ短縮できるし、既にそれを使って分子シミュレーション(製薬、新薬開発などに使う)が実装されている。しかし、それ以外の活用法がなかったら必要か?という話になる。先程言った技術力の足りなさがあるのなら、あまり広く使われないのでは?ということになる。

    それが現在の課題だ。より多くの量子ビットを扱う技術、方法を模索している状態だ。

    では、そこまでして量子コンピュータを実現したいのは何故か。それは古典コンピュータの限界が近いことにある。今のコンピュータの計算の速さは集積度をあげること、すなわち計算部をできるだけ小さくして限りある場所に大量に詰め込むことにある。ただ、当然それらは物質なので大きさがある。当然原子より小さくはなりえないため、そろそろ限界が近い。

    てか待ってよ。そもそもこれ以上計算を早くするメリットはなんなの?それ。

    これからの利用方法のひとつに、仮想通貨で使われる暗号の強化がある。原理は詳しくは説明しないが、仮想通貨の暗号化には素因数分解が利用されており、古典コンピュータにとっては計算量が多すぎて解読が困難なのだ。量子ビットを大量に扱える量子コンピュータが完成するとそれが解読されるという。(アメリカの研究者ピーター・ショアにより証明されている)逆に言えば、量子コンピュータ側がそれを包含するような暗号化システムを生成できるのでは?とも言えそうだ、というロジックである。

    さらに、クラスタリングという技術を用いれば、昨今流行りのAIにも応用が利くというのだ。AIの技術がどこで冷めるかは知ったことではないが、現状は量子コンピュータを必要なものとしてカテゴライズして問題はなさそうだ。

 

まとめ

    量子コンピュータの概要しか話していないが、僕が利用する確率を考えると概要だけ知っていれば良さそうだ。もっと言うとそれを判断できるだけの知識の体系が自分の中に存在しない。まだまだ勉強が必要そうだ。